信用保証協会の保証付き融資とプロパー融資の違い!返済不能と代位弁済
2018/04/16
目次
【銀行の融資にはどのような種類のものがあるか?】
銀行(信金等も取扱いは同じです)の融資は、大きく分けて
『保証付き融資』と『プロパー融資』の2種類があります。
一言で簡潔に表現すると、次のように区別できるでしょう。
『保証付き融資』とは?
→「保証会社の保証が付いた融資」
『プロパー融資』とは?
→「保証会社の保証を付けずに、銀行が直接貸し付ける形態の融資」
以下二つの違いについて説明していきます。
【保証付き融資とは何か?】
一般的に、お金を借りる時には「保証人」が必要です。
(「保証人」に対して、銀行ではお金を融資した会社・個人を「債務者」と呼びます。)
しかし、誰だって保証人になるのは敬遠します。
また銀行は、仮に債務者が返済できなくなった時、
債務者に代わって、その借入を保証人が返済することができるのか?ということを、
保証人の収入や資産などから審査します。
従って、せっかく保証人になってくれる人を見つけたとしても、必ずしも銀行が認めてくれるとは限りません。
こうしたことから、生きている人間を保証人とすることは(これを人的保証と言います)
かなりハードルが高いのが現状なのです。
しかし、債務者が倒産や失業、あるいはそれが原因で自己破産したり、返済を滞らせたまま失踪するようなことがあったら、銀行は融資したお金を回収することができません。
(こうした、融資したお金を回収できなくなることを「貸倒れ」といいます)
銀行は、預金などでお金を集めて→利息を付けて融資して→利息と一緒に回収する
ことで成り立っている会社です。
当然ながら、貸倒れの恐れのある相手には融資をしません。
そこで、銀行が認めてくれる保証人を探すことが難しい中小企業などのために、
『保証会社が保証人になる』のが保証付き融資なのです。
【保証会社が保証人になる=「保証付き」とはどういうことか?】
では『保証会社が保証人になる』とはどういうことなのか?
ここからは、保証会社として代表的な『信用保証協会の保証付き融資』を例に挙げて説明していきます。
🔴信用保証協会とは?
今回のテーマにもある「信用保証協会」とは何か?
民間の保証会社も、もちろんあります。
銀行にも、そうした保証会社保証付きの融資があります。
しかし銀行などの金融機関では、「信用保証協会の保証付き融資」が一般的です。
『信用保証協会は、信用保証協会法(昭和28年8月10日法律第196号)に基づき、
中小企業・小規模事業者の金融円滑化のために設立された公的機関です。
事業を営んでいる方が金融機関から事業資金を調達される際、信用保証協会は「信用保証」
を通じて、資金調達をサポートします。
47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にあり、各地域に密着した
業務を行っています。』
(JFG 一般社団法人全国信用保証協会連合会 ホームページより引用)
🔴銀行から見ると
銀行は、公的機関である『信用保証協会』という保証会社が保証人になることで、貸倒れのリスクを回避できることになります。(後で詳しく説明します)
したがって中小企業や創業して間もない先、個人事業主といった、銀行から見てあまり信用力が無い相手=まだ体力がついていない先に対しても、信用保証協会の保証付きなら融資を行うことができるのです。
🔴債務者から見ると
保証付き融資を受けるためには、信用保証協会に「保証料」という名目でお金を支払います。
(タダでは保証人になってくれないのです)
「人的保証が難しく、まだあまり信用力が無い中小企業が銀行から融資を受けるために、
信用力のある保証会社に自分の保証人になってもらう。」
↓
その対価としてお金を払って保証人になって貰うのです。
この「保証料」というものは、保証付き融資の文字通り手数料であると同時に、
万一自分が返済できなくなった時の一種の「保険料」とも表現できるものなのです。
(これも後で説明します)
こうした信用保証協会の保証付き融資のことを、銀行では「マル保融資」略して「マル保」などと呼んでいます
銀行の融資取引は、まずマル保融資からスタートして、数年間取引したのち、銀行にも信用されるようになり、プロパー融資を借りられるようになるのが一般的な流れです。
🔴なぜ最初は保証協会保証付き融資なのか?
<その1 銀行は「貸し易い」 債務者は「借り易い」>
繰り返しになりますが、マル保融資の最大のメリットは「融資が受けやすくなる」点です。
人的保証が難しく、まだあまり信用力が無い中小企業が銀行から融資を受けるために、
信用力のある保証会社が保証人になってくれる。
↓
保証人がしっかりしているから銀行は融資をしてくれる。という訳です。
また、貸倒れのリスクが無いことも、銀行が融資をしてくれる大きな理由の一つです。
この「貸倒れのリスクが無い」こと、それが『代位弁済』と言われる仕組みです。
<その2 銀行は安心して融資できる なぜなら?>
借りたお金が返済できなくなったら、どうなるのか?
プロパー融資では、債務者が返済できなければ、保証人が代わって返済していきます。
では、保証付き融資の場合はどうか?
これは、先ほど保証付き融資は「保証会社が保証人になる」と書いたとおりで、
万一返済できなくなった時には、保証会社が借入を全額立て替えて完済します。
このことを『代位弁済』と言います。(銀行では略して代弁:ダイベンと呼んでいます。)
銀行から見れば、代弁してもらえば貸した金の回収は終わるからです。
(*実際には、代弁では全額回収されないケースや、いろいろな理由で信用保証協会が代弁してくれない:「代弁否認」と言います:ケースもあります)
🔴信用保証協会の保証付き融資は「取りっぱぐれの無い融資」
今度は、代位弁済を実務的な面から説明していきます。
信用保証協会の保証付き融資の場合、次のような状態になると、銀行は代弁を検討します。
例えば
・借入の返済が何ヶ月も滞る(「延滞」)
・不渡り・銀行取引停止処分や差し押さえ
・犯罪など刑事罰を受ける・失踪、死亡など(不渡り等とともに「事故」)
*( )内は銀行での状態の呼称
そして、いよいよ返済不可能なことがはっきりすると、銀行は信用保証協会に対して代位弁済の手続きに移ります。
また債務者がこうした代位弁済の対象になることを「代弁適状になる」といいます。
↓
銀行から代位弁済の請求を受けると、保証協会は各種調査・手続きのうえで、問題が無ければ、数ヶ月後には協会が保証した借入を、全額立て替えて完済します。(代位弁済すると表現します)
↓
代位弁済が終われば、当然ながら銀行の債務は無くなりますので、この時点で銀行は回収が終わった、ということになります。
上記のように銀行にとってマル保は、プロパーのような回収の手間が無いと言えます。
つまり、例えば
・債務者、保証人に対して長い時間をかけて返済を迫っていく。
・回収のために不動産を売却させる。
・場合よっては差し押さえなどの法的手段に訴える。
・最悪の場合は裁判に訴える・・・
などといった手間も時間もかからず、かつ確実に貸した金が回収できると言える訳です。
言葉を変えて表現するなら、信用保証協会の保証付き融資は「取りっぱぐれの無い融資」であり、銀行は融資をしやすくなるとも言える訳です。
【返せなくなった後が違う
~信用保証協会の保証付き融資とプロパー融資の違うところ】
今度は債務者側から見た場合、借りた金が返せなくなったらどうなるのか?
を説明していきます
<信用保証協会の保証付き融資の場合~再生の余地を残して貰える>
信用保証協会の保証付き融資では、借りた金が返せなくなった場合、信用保証協会が借入を全額立て替えて完済してくれます。
ここまでは上に書いたとおりです。
もちろん、代位弁済をしてもらって銀行からの借入が無くなっても、借金がチャラになるわけではありません。(当たり前ですが)
今度は立て替えてくれた信用保証協会に対して返済をしていくことになります。
〔 (注)あくまで債務者が「任意整理」「自己破産」などの法的手段は行って
いないというのが前提です。こうした法的手段をとった場合、銀行は依頼を受けた弁護士や司法書士などの専門家との間で法的手続きを踏んでいくので、これから書いていくような流れにはなりません。〕
「代弁手続」後は、あなたに対する銀行からの取り立ては無くなります。
(当然ながら、銀行融資は完済されているので)
このあと、不思議に思われるかも知れませんが、一般的に信用保証協会からは厳しい取り立てはありません。
もちろん信用保証協会の担当者は、最初は「可能なら全額、すぐに払ってください」と言うそうです。
しかし、債務者と今後の返済について交渉をしていく中で、例えば「毎月1万円しか返済できない」と申し出があれば、協会は原則その条件で返済をさせてくれるそうです。
決して厳しい取り立てはされません。
それはなぜか? 公的機関だから? もちろんそれもあります。
でも実際にはもっと現実的な理由(からくり?)があるからなのです。
それが「信用保険制度」です。
「信用保険制度」とは簡単にいうと「保証協会が保険に入っている」と言うことです。
債務者がマル保融資を借りた時、つまり信用保証協会から見れば、
「協会が債務者の保証人になった」時、保証協会は、その保証した金額に見合った保険に加入します。
↓
具体的には、日本政策金融公庫に「信用保険制度」の保険金を支払うのです。
↓
そして、債務者が代位弁済となった場合、信用保証協会は自らが保証した金額の、
7割から8割を保険金として、日本政策金融公庫から受け取る。
これが大まかな流れです。
したがって、実際は最低限、保険で補填されたあとの残額について回収すればいいわけで、つまりは上に書いたように緩やかな条件でも返済に応じてくれると言う訳です。
信用保証協会の保証付き融資は無担保借入が多いので、もし自宅や工場が無事であれば
事業を再開することも比較的実現性があると思われます。
もちろん、代位弁済を受けたという事実は銀行と、その提携する「信用情報機関」に
登録されるので、銀行から新たに融資を受けるのは当分の間不可能でしょう。
当面はさまざまな障壁もあるが、何とか再生に向けた道は閉ざされずにすむ、と言うのが
代位弁済後のよくある債務者の状況です。
<プロパー融資の場合~信用保証協会の保証付き融資と比べ、厳しい現実が・・>
では、プロパー融資の場合はどうでしょうか?
プロパー融資の場合、当然ながら銀行には代位弁済などの押さえがありません。
従って、融資金が返済できなくなった場合、何とかして債務者本人や保証人から取り立てない限り、銀行は融資金を回収することができないということになります。
こうしたことからプロパー融資のことを「直接融資(古い表現で直貸=ジカガシ)」や、
「信用貸(シンヨウガシ)」などと呼ぶこともあります。
債務者と保証人に対する取り立ては、当然ながら厳しいものになります。
(*なお銀行では「取り立て」という言葉は使いません。「回収」「督促」等を用います)
また、プロパー融資を貸す前に、債務者や保証人が不動産を持っていれば、融資をする条件として不動産を担保にするのが一般的です。
特別な優良企業でも無い限り、銀行が無担保でプロパー融資をすることはありません。
債務者が返済できなくなった場合、銀行は不動産を売却して借入を回収しようとします。(これを「担保権を行使する」などと言います)
担保不動産の売却には、一般的に次の2種類があります。
「任意売買(略してニンバイ)」
→債務者主導で一般的な不動産取引と同じように売買する。
「競売(キョウバイ、銀行業界ではケイバイ)」
→銀行が主導となって、不動産を債務者から取り上げたり、差し押さえをした後で、
買主を募集して強制的に売買させる
二つの違いを説明すると長くなりますので今回は省きますが、一般的には任意売買のほうが高く売れます。
ただし「足元を見られる」という言葉があるように、こうした担保不動産の売買では、
一般的な不動産相場よりもかなり安い金額で「買い叩かれる」ことになります。
仮に、値段が高い方の任意売買ができたとしても、銀行が融資金全額を回収できることはまず不可能なのが実態です。
こうしたことから、現在銀行では不動産担保があっても、実際はそれほど当てにできないというのが実情なのです。
では、現実的な結末はどうなるのか?というと
担保にしていた工場や、自宅まで売り払ってしまった。
しかし売った金では足りず、借金はまだ残っている。
事業を再開する場所も、元手も無い。住む家も失った。
債務者は借金の返済ができないうえに再生の目処も無い。
銀行は、債務者・保証人から資産を全て出させても、融資金の全額は回収できない。
最悪、債務者は自己破産や一家離散となり、銀行には「不良債権」が残る。
実際、よくある顛末です。
しかしながら、もちろんプロパー融資にもメリットはあります。
例えば
「プロパー融資の方が比較的短時間で、低コスト(保証料が不要)で資金調達できる。」
「銀行からプロパー融資を受けていることで会社の信用度が増す。」など
また最近の銀行では、現場の最高責任者である支店長に対し、以前と比べてかなり大きく融資面での裁量権が与えられるようになってきているようです。
銀行サイドも、審査のコンピュータ化、格付、事業性評価等のそれぞれ銀行独自の審査手法に基づき、積極的にプロパー融資を推進するように方向転換しています。
以前のように、マル保融資から始めて、数年間返済をきっちり続けて、業績も維持したら、不動産を担保に入れてやっと銀行がプロパーを貸してくれるようになった。
といった事例はだんだんと少なくなってはきています。
しかしながら、やはり事業にリスクはつきものであり、未来・将来の予測が困難な現在では、「借金が返せなくなった時」を考えるのは重要なことだと言えます。
仮に銀行側からのプロパー融資提案だったとしても、あくまで返済していくのは債務者であり、返済が不可能になった場合、特にプロパー融資には厳しい現実がある点は変わっていません。
そうした「いざという時」の面で信用保証協会の保証付き融資とプロパー融資の違いを考えて見ることも必要だと言えるでしょう。
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